いつもの読み聞かせにひと工夫。「読む前」も「読んだ後」も絵本を感じるワークショップ

2018年最初のおやこ絵本ワークショップ。2月4日(日)、立春にちなんで「春」を感じるお題で遊びました。
今回は6組の親子(子ども8人)が集合。前回や前々回に引き続き来てくれた子どもたちは、すぐに馴染んで思い思いに遊びだし、初めての子どもたちは、様子をうかがいつつ絵本や風船を見つけて笑顔をみせてくれました。

みんな揃ったところで、「ワークショップはじまります!」の呼び声がかかりワークスタート。


子どもが大好きな音!

まずは恒例の「じゅんびうんどう」です。今回は絵本が2冊。集まってくれたのが2歳~9歳までと幅広かったので、赤ちゃんも楽しめるかわいい絵本『ころんちゃん』と、今子どもたちに大人気の絵本『えがないえほん』を準備しました。


『ころんちゃん』(まつなり まりこ・作、アリス館)

『ころんちゃん』では、みんな優しい表情で聞きいります。
一方、『えがないえほん』は取りだした瞬間、子どもたちが「きゃー」と声をあげて表情が一変。部屋の外に出ていた子も面白いことが始まりそうな気配を感じたのか戻ってきます。ナビゲーターがページをめくり、「おバカすぎ」て「めちゃくちゃ」なオノマトペを読むたびに、子どもたちが大笑い! そんな子どもたちの様子を見てお母さん・お父さんたちも笑顔に(半分苦笑?)。
子どもってオノマトペが大好きなんですね。大人にとっては、言葉の音をおもしろがる心を思いださせてくれる絵本です。

『えがないえほん』(B・J・ノヴァク・著、大友剛・訳、早川書房)


さて、たくさん笑って体も部屋もあたたまったところで、いよいよ、絵本づくりワーク本編です。


「読む前」に風船をふくらませる理由

「今日の本の素は『はるですよ』という絵本です」と本を取りだすナビゲーター。でも、すぐにはページを開きません。絵本の世界をより味わうために、「読む前」に少し想像をふくらませてみます。

『はるですよ』(柴田晋吾・さく、広野多珂子・え、金の星社)


「春」ってなんでしょうか? そう、季節、冬の次が春です。今日2月4日は、立春。「春が始まる日」です。春の語源は「はる」。「パンパンにはっているもの」の代表といえば風船です。冬の間ちぢこまっていたものが、ふくらんで、はじける。それが花や葉っぱの芽吹きです。みんなも暖かくなったら、外に飛び出していきたくなると思います。
それぞれ好きな色のふうせんを手にもって、ぎゅうっとおさえてみてください。押し返しますね。これが春の感じです――

そんなふうに伝えて、子どもたちに「はる」を触ってもらいます。思い思いに風船を抱える子どもたち。 
中には、風船をふくらませようとしている子もいます。なかなか膨らみません。「はる」は簡単にやってこないんですねぇ。

手に手に風船を持ってもらい、「春らしさ」を体感しながら、読み聞かせスタート。絵本をじっと見つめる子、風船と絵本をかわるがわる見ている子、風船のほうが気になる子。「はる」の感じ方も、絵本の聞き方もさまざまです。


「読んだ後」は、親子ワークへ

絵本を読み終えると、本を閉じ、「本にはどんなものがあったかな? どんな色があったかな?」と問いかけます。
たとえば、野原の葉っぱの緑色がありました。冬眠から覚めて出てきた、テントウムシの赤もありましたね。ほかにもたくさん思い出して、「春の色 見本帳」を作ってみよう! それが今日のお題です。 


〈見本帳の作り方〉

  1. 絵本や、壁に貼られた写真の中から“春になってでてきたもの”“春っぽいもの”を探したり、思い浮かべたりします。
  2. そのものの色と似た色を、色紙から選びだして、ワークシートに貼ります。
  3. その色がなにを表すものなのかをお母さん、お父さんと一緒に枠の中に書きます。
  4. 書けたら、壁に貼っていきます。 

では、親子で3ページから5ページ、作ってみましょう。絵本や写真も見て、どんな春が出てくるかな。 

スタートすると、一斉に「なににする?」「何色があったかな?」と親子で相談が始まりました。「ピンク!さくら!」「きいろがいい!」と聞こえてきます。 

子どもたちだけでなく、親の方も作っているときは真剣です。表情がいきいきしているお母さん・お父さんを見られるのも子どもにとって面白い体験です。

ページができたら、シートにパンチで穴をあけ(後で一冊に綴じるため)、どんどん壁に貼っていきます。 


いろんな春が出てきました

たくさん並びました! 総勢29枚の「ページの素」です。みんな、どんな春を選んだのでしょう? ナビゲーターが一つ一つ紹介し、コメントします。

さくら、ちゅうりっぷ、れんげそう、なのはな。やっぱり春と言えば花の名前は欠かせません。はなやかなピンクが目立ちます。ピンクでもいろいろありますね。

花と並んで目を引くのは、鮮やかな緑のやさいたちです。「はるキャベツとアスパラガス」「たんぼ」「もものはな・もものはっぱ」。2色使って、折り紙が踊っているよう。

とり、やぎ、はち、かば、にわとり、ちょうといった生きものにも注目しました。

りぼんやでんしゃも外せません。春はお出かけの季節ですから。

そして、名前の表現にもこだわりが光ります。「かわべりのれんげそう」「いえのまえのさくら」「バス停でみかけるアゲハちょう」「コケこさん」。それぞれ、いつもの風景に春の芽吹きを感じていることが伝わってきます。 


絵本を二度楽しめる! 出来上がった「みんなの本」を味わう

最後に、すべてのページをリボンで綴じて、あたらしい絵本に仕立てました。タイトルは『はるのいろ みほんちょう』。お母さん・お父さんに表紙の「え・ぶん」の欄に氏名を書いてもらったら、新しい絵本ができあがりました。

あらためてナビゲーターが音読し、“みんなの本”を味わいました。 

今回はこれでおしまい。暖かくなったとき、今日の風船や折り紙を思いだしてくれるといいな。


◇◆◇


後片づけをしている時、ミニライブラリーに1冊だけ入れてあった大人向けの『ヨチヨチ父』(ヨシタケシンスケ・作、赤ちゃんとママ社)を「おもしろい!」と読んでいる9歳の男の子。弟がいるので、共感したのでしょうか? その場でスタッフと本談義。

みんな、また遊びにきてね!


今回のワークについて

  • 春の「らしさ」を感じてみるワークでした。まず、風船のふくらみに春らしさを感じ、絵本や写真の中から春っぽい色を取り出しました。言いかえれば、「春」という情報を風船や折り紙の中にうつしかえて、表現しました。それにより、子どもたちの中に新しい情報の引き出しが作られることを願っています。

  • 今回のワークでは、〈読む前〉に風船をつかって想像をふくらませる→〈読む〉→〈読んだ後〉に思いだしながら表現する、という三段階の流れをつくりました。「読前・読中・読後」を意識するというイシス流の深い読書を親子で体験できるように仕立てました。お家でも、本選びを楽しんだり、感想を話しあったり、「前」と「後」の時間に注目してみてください。

  • 『はるですよ』(柴田晋吾 さく/広野多珂子 え/金の星社)には、シリーズで『なつですよ』『あきですよ』『ふゆですよ』があります。季節のうつろいに敏感になると、ふだんの通学路に遊びと学びの種がいっぱい落ちていることに気がつきます。 


(吉野

ことば×からだ☆おやこ絵本ワークショップ

イシス子ども編集学校による親子向け絵本ワークショップ。 絵本づくりワークや言葉遊び、手遊びを通して、ことばとからだをのびのび、いきいき、育てます。 《絵本の読み方が広がる 親子の会話が変わる》