【フォーカス】しつもんを作ろう! 「あなたはどっちをえらぶ?」


12/2(日)におやこ絵本ワークショップを開催しました。ワークのテーマは「しつもん」

しつもんは二択タイプで作ります。たとえば、
「どっちが たのしい? → ブランコとすべりだい」
「どっちが こわい? → おばけとゆうれい」


「どっちが○○? →△△と□□」という型を使い、何について質問したいか考えて、2つの選択肢を作りました。


子どもにはむずかしそう? いえいえ、やってみると子どもたちは大盛り上がり。なかには大人も答えるのに困る哲学的なしつもんも生まれました。


「しつもん」作りの方法をご紹介します。いつものように3つのステップをふみます。

  1. 「じゅんびうんどう」での読みきかせ
  2. 「本の素」の読みきかせ
  3. ワーク中のナビゲーターからのフォロー


まずは「じゅんびうんどう」の読み聞かせ

今回のねらいは、ワークのテーマである「しつもん」を楽しみながら肌で感じてもらうこと。

選んだのは大人気作家、ヨシタケシンスケさんの『おしっこちょっぴりもれたろう』(PHP)。


パンツにおしっこがちょっぴりもれちゃうのを、いつもお母さんにおこられる男の子。

彼が、自分以外にも「ちょっぴりもれたろうな人、いるかな? きいてみよう!」と、いろんな人に会って質問するお話です。



子どもたちは絵本のなかの男の子にすっかり共感。クスクス、キャハハと声を上げながら、男の子のちいさな冒険を見守るように聞いていました。



『こんなとき きみならどうする?』読み聞かせ

じゅんびうんどうが終わったら、「しつもん」作りのもととなる絵本、本の素(もと)を読みます。

今回の本の素は、『こんなとき きみならどうする?』(作:五味太郎、福音館書店)。いろんなしつもんが詰まった絵本です。



ひとつの見開きに、ひとつ質問が描かれています。全部で13。たとえば、

やまのぼりののぼり方、きみならどうする?
川に流されたこいぬ、どんな方法でたすける?

質問と同じページに、いろんな解決方法も示されています。



「ロープウェイでいく!」「およいでいく!」と、自分がとりたい方法を指さしながら答える子どもたち。


だんだん、質問があって、答えるというイメージをもててきたようです。

それでは、いよいよ「しつもん」作りスタートです。



『しつもんえほん』絵本づくり

《やりかた

  1. しつもんが書かれた紙を配ります。「どっちがおおきい?」「どっちがすき?」「どっちがきらい?」「どっちがおいしい?」の4つ。
  2. それぞれ比べたいものを、絵と文字で書きます。
  3. 自由にしつもんを作ることのできる「どっちが(  )?」という紙にも挑戦します。



子どもたち、勢いよくしつもんを作っていきます。

おたがいに何を書くか意識しあう様子もみられました。

食べものを競って描いたり、男の子は「どっちがくさい/きたない?」を描きあったり、人の顔や時計も出てきました。


まねて描きはじめるけど、しつもん文までは同じになりません。そこに個性が出るのでしょう。



しつもんが「うかばないよー」「こまっちゃった」という場合のために、しつもんリストも準備してあります。

どっちが いたい?/ほしい?/ながい?/みじかい? など、いろいろありますので、見ながら作ることもできます。



30分ほどで、ひとり4~6枚のしつもんシートが完成しました。


できあがったしつもんは、子どもならではのアイデアがたくさん。

  • どっちがおおきい? →アンパンマン と ドラえもん
  • どっちがいらない? →とけい と そうじき
  • からだのなかでどっちがだしたい? →おしっこ と 
  • どっちがくさい? →からすのおしっこ と ライオンのうんち
  • どっちがじかん? →3じ と とけい


大人だったら「比べても意味がない」と判断するような選択肢も出てきました。


ふむふむ、今、この子の言葉の育ちはこのあたりなんだな、とか、この子はこういう感覚、資質を持っているんだなというのが見えてきます。


こうしたことから、今後、どんな遊び、どんな言葉、どんな本と出会わせてあげるといいかな、と考える楽しみも生まれてきます。



「みんなの本」を味わう


できあがって、机の上に並んだみんなの「しつもん」。ナビが読みあげていくと、子どもたち、すかさず答えだしました。


「おしりとうんち、どっちがきたない?」。どちらもきたない、くさいと思っていたけど、比べて考えると、実はおしりはくさくないよね、という結論になりました。

「アンパンマンとドラえもん、どっちがおおきい?」と聞くと、「アンパンマンは62センチやで」と、ウソかホントか具体的な数字がでてきました。


比べることで、子どもも大人も自然とことばが豊かになっていきました。



最後に、できあがったみんなの絵本を読み聞かせて、じっくり味わいました。


「いちごとぶどう、どっちがおいしい?」は、意見が真っ二つに割れます。

「ピラミッドとジェットコースター、どっちがたかい?」では、「ぜったいピラミッドのほうが高い」と自信をもって答える子がいます。


何度読んでも盛りあがる『しつもんえほん』になりました。



一方通行ではない、ワイワイ会話するような絵本の読み方を体験すること。

答えが一つじゃない「しつもん」を作ったり、答えたりすることを楽しむこと。


子どもたちの中にそんな芽がそだってくれればと思います。


(吉野・松井/記)

ことば×からだ☆おやこ絵本ワークショップ

イシス子ども編集学校による親子向け絵本ワークショップ。 絵本づくりワークや言葉遊び、手遊びを通して、ことばとからだをのびのび、いきいき、育てます。 《絵本の読み方が広がる 親子の会話が変わる》