【フォーカス】ことばとからだでふれる「数」のせかい

6月3日に開催した絵本づくりワークショップ。各シーンにフォーカスしてレポートします。(ワークショップの概要はこちらのページへ)

全員で一冊の本をつくることは、子どもたちにとって大きなミッションです。子どもたちはどのようにして絵本を完成させたのでしょう。

今回、手作り絵本の「素」として準備したのは『ふえたふえた』(作/またきけいこ 福音館書店 かがくのともシリーズ)

「ふえたふえた」何がふえた? 何をしたからふえたのでしょうか。「おもいっきりはしったら」「むねのどきどきがふえた」。「ごはんをたくさんたべたら」ふえるものは?・・・・・・ 子どもたちが知っている身の回りの「ふえる」事象を、どうしてふえるのか掘り下げ、わかりやすいことばと鮮やかな絵でご紹介します。(福音館書店サイトより)


手作り絵本の骨格になるのは、絵本から取りだした「型」です。
今回の「型」は、「ふえたふえた、○○がふえた。」というもの。
子どもたちは3つのお題に取り組み、「型」に親しみながらページを作っていきます。


お題① 親子で「ふえた」リレーをしよう

ウォーミングアップです。「雨がふえたら、なにがふえる?」「ふえたら、どうなる?」とナビゲーターが問いかけます。

ワーク開始前にドラえもんの似顔絵を描いて盛り上がっていた子どもたち。「ドラえもんがふえる」「ドラえもんの道具がふえる」「のび太のいたずらがふえる」「ママが怒るのがふえる」「のび太が泣くのがふえる」とドラえもんあるあるのリレーになりました。

4~6歳では連想を繋げていくのは少し難しいけど、一生懸命考えて聞かせてくれました。


お題② 「文字のページ」をつくろう

「ふえたふえた、○○がふえた。」の「型」を使ってみるステップです。

<やりかた>

  1. 「ふえたふえた、(   )がふえた。」 と書かれたシートを配ります。
    (   )に入れたいことばを子どもが考え、親がシートに書きます。

身近な「ふえた」ものを思い出したり、自分が好きでふやしたいものを考えたりしてもらいました。思いついたものはお父さん・お母さんがシートに記入。でも、子どもたちは自分で文字を書いたり、絵を描いたりと積極的に取り組んでいました。


お題③ 「絵のページ」をつくろう

「ふえた」を絵で表現するステップです。「ふえた」という概念を体で感じてほしいというねらいがあります。

<やりかた>

  1.  なにをふやすか、かんがえる。
  2. いくつからいくつにふやすか、かんがえる。
  3. 「ふえる前」シートと「ふえた後」シートに、それぞれクレヨンでかく。
  4. 「えのページ」シートは2枚で1セット。1枚目に「ふえる前」、2枚目に「ふえた後」を描く
  5. できたら“穴あけ係り”に渡す。


実は、1個→2個に増やすと一番ラクにできあがります。でも、1枚目にうっかりたくさん描いてしまうと、2枚目にもっとたくさん描かないといけません。

あら、こちらは1枚目に3個のみかん。2枚目は何個描くのかな?

すると、2枚目にみかんを1個描いて、いったん「できあがり」とのこと。見ていたお父さんが「ありゃりゃ~」。
ナビゲーターが「あとで本にするときに、この順番で綴じますよ。 3個から1個になると『ふえたふえた』じゃなくて『へったへった』になるね。どうしたら『ふえたふえた』になるかな?」と問いかけます。再トライして3個→2個になりました。「あと一息!」。
「えー、シートを逆にする」と一計を案じる子ども。
ナビゲーターは、「順番はこのままでいきたいな。『ふえたふえた』を『へったへった』に書き換えるというのも最後の手段だけど…」と受け入れながら、できることをできるだけ伸ばす方向にうながします。

もう一個増やして、 3個→3個になりました。「おなじおなじ」になったね!
さらに一個増やして、ついに3個→4個に。やった、「ふえたふえた」になった!

大人にとっては簡単な「ふえた」概念ですが、子どもにとってはアウトプットに至るまでに、紆余曲折がつきものです。そのプロセスを丁寧に見守り、積み上げていくことで深い理解が育まれます。

さあ、名前を書いて、穴あけ係りに渡そう。できた!という顔で、「えのページ」を作り終えることができました。


出来上がった「みんなの本」を味わおう

本が綴じあがると、「読んでー!」「読みたーい!」と、手作り絵本大人気。賑やかな読み聞かせタイムになりました。本は読むのも楽しいけど作るのも楽しいということを感じてもらえたらいいな。


「じゅんびうんどう」はインタラクティブな読み聞かせ

話は前後して、おやこ絵本ワークショップでは、絵本作りの前に「じゅんびうんどう」をします。ことばでからだを動かし、本と子どもの距離、子ども同士やナビゲーターとの距離を縮めて、みんなで本をつくる準備をします。

今回の選本は、『まるまるまるのほん』(エルヴェ・テュレ/作、谷川俊太郎/訳、ポプラ社)の“参加型”絵本。

ページをめくるたびに絵の「まる」がふえて、動きだすしかけになっています。子どもたちは「まる」をこすったり、クリックしたり、ふーっと吹いたりして大興奮。勢いよく二回読み、場が温まりました。


準備から後片づけまですべて編集です

本を綴じるための「あなあけ係り」のほか、会場の準備など得意なことはどんどんお願いします。ワークの後は全員で後片づけ。


次回は、8月5日(日)クレオ大阪東にて開催します。どんなお題が登場するのでしょう。


(松井・吉野/記)

ことば×からだ☆おやこ絵本ワークショップ

イシス子ども編集学校による親子向け絵本ワークショップ。 絵本づくりワークや言葉遊び、手遊びを通して、ことばとからだをのびのび、いきいき、育てます。 《絵本の読み方が広がる 親子の会話が変わる》